ソフトバンクグループが米OpenAIへの追加出資を完了させ、累計出資額は646億ドル(約10兆2,000億円)に達しました。これでOpenAI株式の約13%を保有することになります。当初契約では上場を前提に出資を前倒しする余地もありましたが、結局は予定通りの実行となりました。その背景には、OpenAI側の事情も絡んでいます。
ソフトバンクG、OpenAIへの出資646億ドルで持分13%に
ソフトバンクグループは10月1日、米OpenAIの営利部門であるOpenAI Group PBCへ100億ドル(約1兆5,800億円)の追加出資を実行しました。「ソフトバンク・ビジョン・ファンド2」を通じたもので、総額300億ドル(約4兆7,300億円)の追加出資のうち、最終となる第3弾(サードトランシェ)に当たります。これにより累計出資額は646億ドル(約10兆2,000億円)となり、OpenAI株式の約13%を保有する計算です。
今回の300億ドル(約4兆7,300億円)の追加出資は、2月27日にOpenAIと結んだ契約に基づき、100億ドル(約1兆5,800億円)ずつ3回に分けて実行されてきました。第1弾は4月1日、第2弾は7月1日にそれぞれ完了し、今回の第3弾で300億ドル全体の実行が完了したことになります。この300億ドルは、累計出資額646億ドル(約10兆2,000億円)の一部を構成するもので、今回の実行完了によってソフトバンクグループの持分比率は約13%に達しました。第1弾・第2弾の2回分は、いずれも主要取引金融機関からのつなぎ融資で資金を賄い、その後、保有資産の活用や社債などの調達に切り替える方針が示されていました。各段階で調達手段を使い分けながら、300億ドルという大型の追加出資を3回に分割して実行してきた形です。
今回の最終分(第3弾)の100億ドル(約1兆5,800億円)には、社債で調達した資金が充てられています。ソフトバンクグループは9月24日に米ドル建てとユーロ建ての社債発行を発表しており、使途として第3弾の出資資金などを挙げていました。調達額は合計で約111億ドル(約1兆7,500億円)に上り、低格付け企業が発行する「ハイイールド債」としては過去最大規模だと米Bloombergなどが報じています。300億ドルの追加出資は、つなぎ融資から社債調達へと資金手当ての手段を切り替えながら完了した形になります。なお646億ドル(約10兆2,000億円)という累計出資額は、今回の300億ドルに加え、それ以前に実行されてきた出資分を合算したものであり、今回の300億ドルの実行だけを指す数字ではありません。
上場前倒しの余地、見送られた理由
契約では、OpenAI株式の上場が合理的に見込まれる場合、出資を前倒しする可能性があるとされていました。つまり300億ドル(約4兆7,300億円)の出資完了は、本来はOpenAIの上場時期次第で早まる余地があったということです。
しかし、OpenAIのサム・アルトマンCEOは9月、米経済誌Fortuneのインタビューで、AIの安全性への対応を優先するとして2026年中の上場を見送る考えを明言しました。この発言を受けて前倒しは実現せず、当初の予定通り10月1日の実行となっています。
なお、本文中の「サードトランシェ」は、300億ドルの追加出資を3回に分けて実行する際の最終となる第3弾を指す呼称です。「つなぎ融資」は、社債発行など本格的な資金調達の手段が整うまでの一時的な融資を指し、第1弾・第2弾ではこの方式で資金が賄われていました。「ハイイールド債」は信用格付けが低い企業が発行する債券を指し、今回の社債発行はこの区分で過去最大規模だったと報じられています。出典記事には、2026年中の上場見送り後の具体的な上場時期や、今後の出資計画についての言及はありません。
注目ニュース
JERA・Dell・RHAELM、千葉市にAIデータセンター建設へ
発電大手のJERA、米Dell Technologies、英RHAELMは10月1日、千葉県内に「AIデータセンター」を建設すると発表しました。総投資額は150億ドル(約2兆3,600億円)以上を見込み、2028年ごろの運用開始を目指します。建設地は千葉市にあるJERAの「千葉火力発電所」内で、受電容量は最大40万キロワット。発表時点では単一拠点として国内最大、AIインフラプロジェクトとしては中国を除くアジアでも最大規模になるとしています。3社は「日本における国家規模のAIインフラ開発の加速に向けた覚書」を締結しており、今回はその第1号案件に当たります。2030年代には日本全体で数百万キロワット規模のAI計算基盤の提供を目指すとしていますが、具体的な費用負担や契約条件についての言及は出典記事にはありません。
Google、「Gemini 4 Argon」を先行提供開始
米Googleは9月30日(現地時間)、次世代フロンティアモデル「Gemini 4 Argon」を発表しました。最大出力は従来の6万4000トークンから100万トークンに拡大され、複雑で長時間にわたるワークフロー処理に重点を置いています。まず「Fairwind Program」を通じて信頼できるサイバー防御組織への提供を開始し、米政府にもリリース前のモデルを提供済みです。ソフトウェアの脆弱性を自律的に発見・検証・修正できる点を特徴としており、サイバー関連のガードレールを外した状態での提供は、Fairwind Programの参加者など信頼できる防御側とGoogle社内のチームを対象としています。一般提供の時期は明らかにされていませんが、有料APIユーザーと「Google AI Ultra」加入者から順次拡大する計画です。APIの導入価格は100万トークン当たり入力2ドル、出力10ドルで、導入期間終了後は入力4ドル、出力20ドルになるとされています。
米FTC、AnthropicやOpenAIなどAI企業を調査
米主要メディアは9月30日、米連邦取引委員会(FTC)が人工知能開発企業に対する調査を開始したと報じました。消費者に危害が及ぶ潜在的な危険性の有無を明らかにすることが目的で、米AnthropicやOpenAIといった企業が対象になる見通しです。米紙ニューヨーク・タイムズによると、FTCは不公正な取引や詐欺的な慣行を禁じる法令を根拠に調査を開始しており、消費者データの扱いやAIの性能に関する情報公開のあり方も対象になる可能性があります。FTCは各社に情報提供を求めたり、経営幹部に証言を求めたりする方向だとされています。
米連邦判事、GoogleのAI Overviewsを巡る独禁法訴訟を棄却
米連邦判事は、ChеggとRolling Stone親会社のPenske Media Corporation(PMC)が起こした独禁法訴訟を棄却しました。両社はGoogleがAI機能によってWebトラフィックを奪ったと主張していましたが、Amit Mehta判事はGoogle側の主張を認める判断を下しています。Mehta判事は、両社の主張について「期待は合意ではない。これは一般的な検索エンジンの仕組みにすぎない」と述べました。出版社が置かれている状況には理解を示しつつも、独禁法が新しい技術革新による経済的影響に対応する立法の代替にはならないとしています。一方でThe Informationの報道によると、Googleは AI Overviews などへの貢献に対して、パイロットプログラムとして約100の出版社に支払いを行っているとされています。
編集後記:前倒しの余地が結局使われなかったこと
今回の出資完了で目を引くのは、契約上「前倒しもあり得る」とされていた仕組みが、結局は使われなかったという点です。OpenAIが上場を見送った結果、ソフトバンクグループの出資スケジュールは当初の予定どおりに進みました。社債発行という調達手段の選択も含め、1件ずつの実行が積み上がって10兆円規模の出資になったという経緯が、淡々とした事実の積み重ねとして見えてきます。上場時期が今後どうなるかによって、次の出資や取引の形がどう変わるのか。そこは出典記事でも触れられておらず、現時点では分からないままです。
