Nvidiaが129億ドル(約2兆600億円)でHugging Faceを買収することで合意しました。この価格は年換算売上高1億5,000万ドル(約239億円)の約86倍にあたり、2023年の評価額45億ドル(約7,180億円)からほぼ3倍に跳ね上がっています。1月には同社が同じNvidiaからの投資提案を拒否していたことも分かっており、今回の全面買収がその後どう位置づけ直されたのかが焦点です。

Nvidiaが129億ドルでHugging Face買収に合意

共同創業者のThomas Wolf氏は、オープンソースAIが慈善事業ではないと10年かけて世に訴えてきたとThe Next Webは伝えています。米The Informationの報道によれば、Nvidiaは300万を超えるオープンソースLLMをホストするHugging Faceを129億ドル(約2兆600億円)で買収することに合意しました。Hugging Faceは創業10年のスタートアップで、年換算売上高は1億5,000万ドル(約239億円)とされています。買収額はこの売上高の約86倍にあたり、2023年に付いていた評価額45億ドル(約7,180億円)からはおよそ3倍の水準です。この買収はNvidiaにとってこれまでで最大級の案件の一つとされています。

この買収が明らかになったのは、Nvidiaが四半期売上高962億ドル(約15兆4,000億円)を発表し、来期の売上高が70%増えるとの見通しと、2027年までに180億ドル(約2兆8,700億円)を株式投資に充てるとコミットしていると開示したのと同じ日でした。Nvidiaの直近の売上ペースに当てはめると、$12.9 billion(129億ドル)はおよそ13日分の売上に相当します。半導体を売る会社が、2週間ほどの稼ぎでオープンソースという自社が直接は握っていない領域の流通基盤を手に入れようとしている格好です。

この買収には前段があります。英Financial Timesが1月に報じたところによると、Hugging Faceは当時Nvidiaから提示された70億ドル(約1兆1,200億円)評価での5億ドル(約798億円)の投資を一度断っていました。独立性を保つことを優先した判断だったとみられますが、今回Nvidiaは投資ではなく全面的な買収という形で改めて提案し、Hugging Face側はこれに応じています。共同創業者でチーフサイエンスオフィサーのThomas Wolf氏にとって、これまでの判断軸は「イグジットではなくエコシステムをどう育てるか」だったとThe Next Webのインタビューで語られていますが、買収が成立すればそのエコシステムはNvidiaの傘下に入ることになります。

Hugging Faceのロボット事業と今後の焦点

Hugging Faceはモデル共有プラットフォームとして知られてきましたが、近年はハードウェア領域にも展開しています。昨年発売した消費者向けロボットキットの初代モデル(価格は約100ドル)はすでに1万台以上を販売しており、今年夏には2代目となる「Reachy Mini」を300~500ドルの価格帯でリリースする予定です。Wolf氏は「AIとはどのようにして知能が作られるのかという興味だった」と述べており、その関心の延長線上にロボット事業があることがThe Next Webのインタビューで語られています。

Hugging Faceは現在、300万を超えるオープンソースモデルをホストするハブを運営し、250人規模のチームでこの規模を支えています。Nvidiaは2026年8月27日にHugging Faceの買収に合意しましたが、2026年8月29日時点でこの買収はまだ完了していません。The Next Webの記事も、2026年8月29日時点でこの取引が規制当局の承認を条件としており、まだクローズしていないことを明記しています。Wolf氏が一度断った提案を今回は受け入れた背景や、買収後にHugging Faceの運営方針がどこまで維持されるのかについては、現時点で公開されている情報だけでは判断材料が不足しています。TNW

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Anthropicは一部のClaudeユーザーに対し、PC上の情報窃取マルウェアがログインセッションを盗み取り、それを使ってアカウントの利用枠を消費していたことを警告しています。「利用上限がリセットされた後、使っていないのに減っていた場合はこれが原因の可能性がある」との案内を対象ユーザーへ送付し、影響を受けたセッションのログアウトや保存済み支払い方法の削除、不正利用分の返金を実施しているとのことです。関連するマルウェアとしてVidar、LummaC2、StealC、RedLineなどをWindowsで、Atomic Stealer(AMOS)を一部のMacで確認しています。Anthropicは、このマルウェア自体がClaudeを通じてインストールされたものではないと強調しており、感染経路は一般的な不正ダウンロードなどが起点とみられています。BleepingComputer

編集後記:一度断った提案が全面買収に変わった経緯

今回の買収で気になるのは、Hugging Faceが1月に70億ドル(約1兆1,200億円)評価での投資を断っていたという経緯です。独立性を優先した判断が、なぜ全面買収という形の合意に変わったのか。The Next Webの記事はWolf氏へのインタビューを含んでいますが、断った理由と受け入れた理由の間にある変化については明確に語られていません。Wolf氏はこれまで理論物理学から特許法、量子コンピューティングへとキャリアを重ねながら、常に関心のある人材を追いかけてきたとされています。買収額が売上高の86倍という水準も、ロボット事業を含む将来性をどう織り込んだ結果なのか、公開情報だけでは読み解けない部分が残ります。規制当局の承認待ちという段階であることも踏まえると、成立後の運営体制がどうなるかを見届けてから評価すべき案件だと感じます。