ChatGPTが、EUのデジタルサービス法(DSA)で最も厳格な区分に指定される見通しになりました。欧州委員会がOpenAIのチャットボットとゲーム基盤Robloxを対象とする計画で、指定は早ければ8月にも決まる可能性があります。生成AIチャットボットとしては初のケースで、対象は月間4,500万ユーザーという閾値を超えた両サービスです。

欧州委員会がChatGPTとRobloxを最上位区分へ

Bloombergが最初に報じたところによると、欧州委員会はOpenAIのChatGPTとRobloxをDSAの最も重い義務を課す区分に位置づける計画です。指定が実現すれば、ChatGPTの検索機能は「非常に大規模なオンライン検索エンジン」、Robloxは「非常に大規模なオンラインプラットフォーム」として扱われることになります。両者はいずれもDSAが定める月間4,500万ユーザーという基準を欧州域内で超えています。

欧州委員会の対応は公には慎重です。広報担当のThomas Regnier氏はReutersに対し、指定は「間違いなく可能」であり、時期については早まることも遅くなることもあり得ると述べるにとどめています。OpenAIはブリュッセルと前向きに協議を続けていると回答し、Robloxはコメントを控えました。指定の時期そのものはまだ確定していない点は押さえておく必要があります。

このタグは名誉ある称号ではありません。すでにMetaやX、Amazon、TikTokなど約24のプラットフォームがDSAの最も重い義務を負うグループに含まれており、ChatGPTとRobloxはそこに加わる形になります。指定から4カ月以内に、年次リスク評価と独立監査、透明性報告、広告の透明性ルール、プロファイリングに依存しないレコメンド機能の提供が求められます。規制当局や認定された研究者へのデータ共有、犯罪行為の報告義務も課され、監督手数料の支払いも発生します。違反した場合の制裁金は、世界全体の年間売上高の最大6%に達する可能性があります。TNW

なぜこの2社が対象になったのか

Robloxが対象になるのは、ある意味で予想の範囲内です。同社は児童の安全に関する訴訟や批判に直面しており、年齢確認や年齢別のチャット機能の導入を進めてきました。DSAの中心的な狙いは子どものオンライン保護にあり、Robloxは多くの子どもが集まる場所だからです。

一方、ChatGPTのケースはより新しい種類の問題です。OpenAIは、チャットボットが危機的な状況にあるユーザーへの対応に失敗したとする遺族からの死亡訴訟を複数抱えており、フロリダ州はOpenAIとSam Altman氏を提訴しています。生成AI製品を最上位区分に組み込むという判断は、ブリュッセルがチャットボットを単なるツールではなく、監視すべきプラットフォームとして見ていることを示しています。

この動きは、欧州委員会にとって初めてのものではありません。DSA施行以降、同委員会は十件を超える調査に着手しており、AliExpressには5億5,000万ユーロ(約1,030億円)の制裁金を科し、Temuにも制裁を科しました。Xには1億2,000万ユーロ(約225億円)の制裁金を科し、Xはこれを不服として係争中です。Metaに対する依存性の高い設計をめぐる調査も強化しており、TikTokに対しては児童の安全をめぐって追及しています。フランスの15歳未満のSNS利用禁止や、拡大するAI規制の枠組みも含め、欧州全体でこうした動きが広がっています。

これに対し、トランプ政権はDSAを米国企業への「経済的な恐喝」と呼んでいます。批判の中には、なぜ欧州は自ら作れないプラットフォームばかりを規制するのか、という声もあります。もっとも、Xの事例が示す通り、指定そのものは治療薬ではなく要求にすぎず、制裁金を科されたXが安全なオンライン空間の模範になっているわけでもありません。それでも、最も注視されているサービス群にシステムを開示させ、監査を受けさせることは、各社の説明を鵜呑みにするよりは意味があるという見方もできます。

用語補足:Digital Services Act(DSA)とVLOP/VLOSE

DSAはEUがオンラインプラットフォームを規制する法律で、月間4,500万ユーザーという基準を超えたサービスは欧州委員会により「非常に大規模なオンラインプラットフォーム(VLOP)」または「非常に大規模なオンライン検索エンジン(VLOSE)」に指定される対象となります。指定はリスク評価や監査など運用面の義務を課す制度です。指定されたサービスには、違法コンテンツや選挙、差別、ジェンダーに基づく暴力、利用者の心身の健康に関わるシステム的なリスクを特定し軽減する義務が課されます。

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編集後記:指定はまだ確定していない

今回の話で気になるのは、指定時期が「8月にも」という見込みにとどまっている点です。欧州委員会の広報担当者も「間違いなく可能」としつつ、時期は早まることも遅くなることもあり得るという表現を使っており、確定した発表ではありません。指定が実際にいつ実現するのか、指定後4カ月の猶予期間中に何を具体的に変えるのか、続報を待って見る必要があります。Xの事例が示すように、指定を受けても制裁金を科されるケースはあり、指定そのものが安全性を保証するわけではないという点も、今後の展開を追ううえで忘れずにいたい部分です。