DeepSeek等のAIモデル単価が18カ月で下落しました。全社的な予算統制ルールを再整備する機会になります
今日のニュース
- DeepSeek等のAI推論コストが18カ月で下落しました。Silicon Canals
- カクヤスが老朽化した基幹システムの解析に生成AIを導入しました。ITmedia AI+
- Expediaが全社AI運用におけるシステム設計の重要性を指摘しました。VentureBeat
- MCPに企業向けアクセス権限の一括管理機能が追加されました。Publickey
- アシックスが手描きスケッチから靴の3Dデータを生成する技術を公開しました。MONOIST
- JAXAが音声AIを活用し宇宙機と対話できる技術の検証を始めました。ITmedia NEWS
- テンセントが軽量かつ高性能なオープンソースAIモデルを公開しました。VentureBeat
- MicrosoftがAI分野への投資集中を目的に約4800人を削減しました。TechCrunch
- RedditがAI生成スパムを排除するため自社開発のLLMを導入しました。TechCrunch
- LinuxのKVMにおいてホストを攻撃できる脆弱性が発見されました。The Hacker News
ピックアップ: AIモデルの利用コストが18カ月で280分の1に下落
スタンフォード大学のレポートが示す数字は驚くほど単純だ。 最上位AIモデルの推論コストが下落を続けている。 2022年後半には100万トークンあたり20ドル。 それが2024年末には7セントになっている。 3年前に月額1万ドルを要した処理が、今では200ドル未満で動かせる計算になる。
コンピューターの歴史を振り返っても、価格がここまで短期間で下がった技術は珍しい。 ただ、過去の価格下落と今回では根本的な原因が異なる。 1990年代後半のDRAM価格の下落や、仮想通貨バブル後のGPU価格の下落は、需要の消失と過剰供給が引き金だった。
今回は需要が消えたわけではない。 DeepSeek等の低価格モデルが市場を牽引し、大手各社は防衛的な値下げを余儀なくされた。 そこにモデルの軽量化と専用チップの進化が重なっている。 競争と技術進化が価格を押し下げたという構図だ。
推論コストの低下を牽引しているのは主に3つの技術である。 1つ目はモデルのパラメータを低精度化する量子化技術。精度を保ちながらメモリ使用量を最大75%削減できる。 2つ目はvLLMなどの推論エンジンによる最適化で、GPU待機時間を減らし処理速度を高める。 3つ目はGroqのような推論専用チップの台頭だ。 これらが組み合わさり、コストの底が下がり続けている。
さらにプロンプトキャッシュが標準になりつつある。 同じ文脈の繰り返しを再計算せずに済ませる仕組みで、反復的な処理のコストを最大90%削減できる。 PinterestやNetflixはこうした手法を組み合わせ、AIインフラのコストをさらに50〜90%圧縮した。設計次第でコストはもう一段下げられる。
単価が下がると、社内の担当者が頻繁にAPIを利用するようになる。 以前のブログで取り上げたUberのAI予算枯渇も同じ構図だった。問い合わせ対応やレポート生成など用途が広がり、利用が増えるほどトークンの消費量は倍々に膨らむ。
アリババが取り組んだ消費の最適化も同じ文脈だ。 単価が10分の1になっても利用量が20倍になれば、総コストは以前の2倍に膨れ上がる。 API価格の下落は導入のハードルを確かに下げた。経営上の問いはそこから先にある。
社内で誰がどのモデルを使っているか把握しているか。 利用上限の設計などインフラの統制がこれからの課題になる。 全社的なルールを再整備する時期が来ている。
各ニュース詳細
カクヤスが30年稼働の基幹システムの解析に生成AIを導入
カクヤスは30年前に構築された基幹システムにAIを導入しました。 全容把握が困難になっていた古いシステムです。 人力では約450人月と見積もられた作業でした。 AIと現場の業務知見を組み合わせて作業量を削減します。 システムの属人化を打破する手法を確立しつつあります。 出典: ITmedia AI+
Expediaがエンタープライズ規模のAI運用における評価基盤の重要性を公開
Expediaが数億回のAI予測から得た知見を共有しました。 デモで機能するAIと本番環境で稼働するAIは要件が異なります。 本番環境ではモデルの精度よりもシステム設計が優先されます。 評価基盤の整備も不可欠な要素として挙げられています。 大規模に稼働させるAIには独自の設計方針が必要です。 出典: VentureBeat
MCPに企業向けアクセス権限の一括管理機能「EMA拡張機能」が安定版としてリリース
生成AI向け標準プロトコルMCPの拡張機能がリリースされました。 企業向けにアクセス権限の一括管理を可能にするEMA安定版です。 従来はMCPサーバへの接続に個別のログインが必要でした。 新機能により一括での権限付与と監査が可能になります。 現時点ではOktaなどのIdPに対応しています。 出典: Publickey
アシックスがAIを活用して2Dスケッチから靴の3Dデータを生成する技術を公開
アシックスはRebuilderAIと共同で新しい技術を公開しました。 デザイナーの手描きスケッチや画像からAIが3Dデータを生成します。 生成されたデータはCAEなどの解析にそのまま連携できます。 2026年のイベントで実際のデモが実施されました。 デザインから製造シミュレーションまでの工程を短縮します。 出典: MONOIST
JAXAが音声AIを活用した宇宙機との自然言語対話インターフェースの検証を開始
JAXAは2026年7月3日に新たな概念設計と検証を開始しました。 「Mission Buddy」と呼ばれる対話型システムです。 音声AIを活用し宇宙機と自然言語で対話しながら作業を進めます。 専門的なコマンド入力に頼らない直感的な操作を目指しています。 民間企業と連携してこのプロジェクトが進められます。 出典: ITmedia NEWS
テンセントがモデルサイズを半分に抑えつつ競合を上回る性能のオープンソースモデル「Hy3」を公開
テンセントが新しいオープンソースモデル「Hy3」を公開しました。 プログラミング関連のテストを除く全項目で高いスコアを出しています。 同等規模の他モデルを凌駕する性能を達成しました。 モデルサイズは競合の半分に抑えられています。 限られた計算資源での高度なAI実装を可能にします。 出典: VentureBeat
MicrosoftがAI分野へのリソース集中を目的に全従業員の約2.1%にあたる4,800人を削減
Microsoftが全世界の従業員の約2.1%にあたる4800人を削減しました。 削減対象はXbox部門や商業販売部門が中心となっています。 AI時代を見据えた事業再編の一環として位置づけられています。 既存事業を絞り込みながら成長分野へ投資を集中させます。 このような構造改革が社内で継続して行われています。 出典: TechCrunch
RedditがAI生成スパムの排除に自社開発のLLMを導入
Reddit上でAIが生成した不自然なコンテンツの増加が問題になっています。 Redditは自社開発のLLMを用いてこれを検知し排除する取り組みを始めました。 AIが生み出した問題に対してAI技術で対処するアプローチです。 プラットフォームの品質管理に生成AIを組み込む先行事例となります。 出典: TechCrunch
LinuxのKVMハイパーバイザーに16年前から存在する深刻な脆弱性が発見
LinuxのKVMにおいて深刻な脆弱性が発見されました。 ゲストOS側からホストへの攻撃を可能にするUse-After-Freeの脆弱性です。 この問題は16年前から潜在していたとされています。 クラウドインフラの仮想化基盤に関わる問題です。 利用中のクラウドプロバイダのパッチ適用状況を確認してください。 出典: The Hacker News
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