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SaaStrが直面した240,000ドルの見積もりという現実

AIエージェントのAPI利用に対価が発生し始めています。SaaStrを3人と21体以上のAIエージェントで運営するJason Lemkin氏によると、1日35,000〜40,000回のAPI呼び出しに対し、ある見積もりでは年間最大240,000ドルに達するとのこと。これまで無料だったアクセスが、なぜ突然課金対象になったのでしょうか。 SaaStrが直面した240,000ドルの見積もりという現実 SaaStrは人間3人とAIエージェント21体以上で運営されている会社です。その中核を担う「10K」という AI VP of Revenue(営業収益担当の役員に相当するAIエージェント)は、もともと単純なダッシュボードとして始まったものの、今では同社のアウトバウンド営業、インバウンド対応、収益オペレーションの大半を回しています。10Kが触れるアプリ全体で、1日あたり35,000〜40,000回のAPI呼び出しが発生しているといいます。 これまで取引先のどのベンダーも、この呼び出し回数に対して課金してきませんでした。ところが状況が変わりつつあります。Salesforce、Atlassian、HubSpotがそろってエージェントによるアクセスに課金を始めているのです。Lemkin氏が得たある見積もりでは、現在の使い方を続けた場合の年間コストが冒頭で触れた水準に達するとされています。同氏はFortune 10に入るような大企業ではないとした上で、この金額や、ベンダーへの支払いを4倍に増やすような条件を受け入れるつもりはないと述べています。 Salesforce、Atlassian、HubSpotがそれぞれ異なる形で課金 出典記事によれば、Salesforceは現在ログイン時にバナーを表示し、エージェントアクセスに追加料金がかかることを告知しながら展開を進めています。Atlassianはすでに課金を実施済みで、それが同社の成長要因のひとつになっているといいます。HubSpotも課金を導入していますが、今のところ対象は自社製のファーストパーティ・エージェントに絞られているようで、10Kのようなサードパーティ・エージェントへの課金はまだ見られないとLemkin氏は説明しています。同氏自身は、この対応の方が望ましいとも述べています。 なぜベンダー側がこうした動きに出るのか。Lemkin氏は、座席(シート)課金を前提にしてきたベンダーが軒並み契約の縮小に直面している点を理由に挙げています。SaaStrはSalesforceのAPI座席を1つしか持っておらず、20や80の座席は必要としていません。長年事業を続けてきたB2B企業が座席拡大の見込みを失えば、同じ結論に至るだろうというのが同氏の見立てです。 B2B領域では値上げが受け入れられやすいという指摘もあります。顧客は11回連続の値上げに不満を漏らしても、離脱するより留まる方が多い。Bending Spoonsが Evernote を買収して価格を2〜3倍にし、残った顧客から得る収益が離脱した顧客の損失を上回るビジネスを築いた例が、その典型として語られています。 Lemkin氏のAIエージェントが示した5ドルの代替案 今回の記事で核心となっているのは、こうした高額な見積もりに対し、Lemkin氏自身のAIエージェントが別の道を提示したという事実です。出典記事のタイトルにあるとおり、240,000ドルの見積もりに対して、エージェントが提案したのはわずか5ドルのPostgresインスタンスでした。SaaStr 出典記事では、この状況の背景として、10Kが1日に生み出す35,000〜40,000回という呼び出し回数が、Supabaseのような現代的なデータベースの料金体系で見れば「ほとんど費用がかからない」水準だと説明されています。Lemkin氏は、この事態の一端は自分たちにもあると認めています。10Kはこれまで誰もAPI呼び出しに課金してこなかったため、まるでガソリンが1ガロン5セントの国にいるかのように、制約なく呼び出しを使ってきたというのです。 この5ドルという案は、あくまでAIエージェントが自ら提案した代替策です。実際にSaaStrがこの案を採用して乗り換えたのか、Salesforceなどとの契約がどう決着したのかについては、出典記事からは読み取れません。あくまで「見積もりに対してエージェントが安価な解決策を提示した」という事実が記事の軸であり、その後の運用結果までは今回確認した範囲には含まれていません。 同じSaaStrのLemkin氏は、別の記事で興味深い補足をしています。人間3人とAIエージェント20体以上という体制でも、売上は前年比47%増(前年のマイナス19%から転換)となり、エージェントが成約した商談は100万ドル(約1億5,800万円)を超えるといいます。その上で同氏は、エージェントが多数いるからこそ、むしろ共有の記録システム(Salesforceのようなシステム・オブ・レコード)が必要になると主張しています。20体のエージェントがそれぞれ異なる解釈で生データを更新すれば、「有力リード」の定義も、重複処理の方法も、20通りに分かれてしまう。これはAPI課金の是非とは別の論点ですが、同じ会社が「Postgresで十分」という単純化と「結局は共有基盤が要る」という両方の現実に直面している点は、今回のエピソードを読み解く上で参考になります。SaaStr この一件が示しているのは、エージェント経由のAPIアクセスに値付けをする動きが始まった段階であり、各社の料金体系や対象範囲がまだ出そろっていないという状況です。Developer Tools & Platforms分野の週次レポートでも、Cloudflareが2026年9月末からの「Birthday Week」で、エージェント向けのAPIアクセスにHTTP 402(支払いが必要なことを示すステータスコード)で課金する「Monetization Gateway」のベータ版を発表しており、同社の観測では自社インフラに届くトラフィックの半分以上がすでに自動化されたものだとしています。SaaStrの事例と合わせて見ると、エージェントのアクセス量そのものを収益源として扱う動きが、少なくとも複数のベンダーで同時並行的に進んでいることがわかります。OriginBrief 中国語で掲載されたNewsHub記事でも同じSaaStrの記事が取り上げられており、240,000ドルという見積もり額と、35,000〜40,000回という呼び出し回数が同様に紹介されています。wqu.guru 費用の規模感だけで判断するなら、5ドルのインスタンスと高額な見積もりの差は大きく見えます。ただし、どちらが「正しい」選択かは、エージェントが実際に何に接続し、どの業務を任されているかによって変わるはずです。SaaStr自身が別の記事で、エージェントにこそ共有システムが必要だと述べている以上、単純にコストの安さだけでベンダーの課金方針を評価するのは早計かもしれません。公開されている情報だけでは、Salesforceなど各社の具体的な料金表や、SaaStrが最終的にどの選択をしたのかまでは判断材料が不足しています。 注目ニュース IDCフロンティア、ランサムウエア被害でデータ復元困難と発表 ソフトバンク子会社のIDCフロンティアは2026年10月8日、ランサムウエア攻撃を受けたクラウドサービス「IDCFクラウド」の一部について、顧客データの取り出しや復元が困難な見通しだと発表しました。障害の影響は495の企業・自治体に及んでいます。同社は被害を受けた顧客に対し、各顧客が保有するバックアップデータを使って別環境でシステムを再構築するよう案内を始めました。サービス基盤そのものが攻撃で停止した場合に備え、別環境にバックアップを確保しておく体制の重要性を示す事例だといえます。日経クロステック 編集後記:5ドル案の「その後」が見えないこと 今回の記事で一番気になったのは、240,000ドルの見積もりに対してエージェントが5ドルのPostgres案を提示した、その先です。SaaStrがこの案を実行に移したのか、Salesforceとの契約をどう調整したのか、出典記事はそこまで書いていません。エージェントが安価な代替案を出せること自体は興味深い一方、同じLemkin氏が「エージェントにこそ共有システムが必要」とも述べている点を踏まえると、コスト削減と運用の整合性をどう両立させたのかが抜け落ちたまま残っています。見積もり額の大きさに目を奪われがちですが、実際の判断材料としては、その後の選択の方が重要だったはずです。

2026年10月12日 · 1 分 · InTech News

週間まとめ: クラウドのデータ消失や委託先経由の漏えい。政府が外部管理の徹底を求める中、事業継続をどう担保するか?

今週の一問: クラウドのデータ消失や委託先経由の漏えい。政府が外部管理の徹底を求める中、事業継続をどう担保するか? 10月に入り、国内で情報漏えいとクラウド障害の報告が立て続けに出ています。シチズン時計は10月6日、問い合わせ受付業務の委託先への不正アクセスにより、約10万人分の個人情報が漏えいした可能性があると発表しました。原因はスカラコミュニケーションズが提供するFAQシステムへの不正ログインで、同じサービスを使っていた大和証券でも約22万件の情報漏えいの可能性が報告されています。スカラによると、同じサーバ上では最大5社分、延べ最大71万3126件の問い合わせ情報が影響を受けた可能性があるとのことです。自社システムは守られていても、委託先が一つ侵害されただけで複数社に被害が波及する構図がここに表れています。 一方、IDCフロンティアが運営する「IDCFクラウド」では10月7日、ランサムウェア攻撃による障害が発生し、495の企業・自治体に影響が及びました。ここで注目したいのは、復旧の見通しが企業によって割れた点です。イラストのコミッションサービス「SKIMA」は一時「非常に難しい状況」とされながらも復旧に使えるデータが残っていることを確認できましたが、音声認識アプリ「UDトーク」はIDCFクラウド側から「データの復元は難しい」との通達を受け、別のクラウド基盤で環境を再構築し、手元のデータから復元する方針に切り替えています。同じ障害に巻き込まれても、バックアップの持ち方次第で選べる選択肢が変わる。この差が、事業継続を左右する分かれ目になっています。 こうした状況を受け、国家サイバー統括室は10月9日、大量の個人情報を扱う事業者向けに注意喚起を公表しました。パッチの迅速な適用や多要素認証の導入に加え、委託先や再委託先の管理状況を継続的に確認するよう求めています。委託先に渡す情報を必要最小限にとどめることや、利用目的を終えた情報を速やかに削除することも促されました。前日の10月8日には全府省庁や外局など29組織が参加する会議が開かれ、古川俊治サイバー安全保障担当相は「大変危急の状況となっている」と述べています。 この二つの事案は、性質の異なる依存リスクを同時に示しています。シチズン時計の件は、委託先という「管理の外側」で起きた漏えいです。自社のシステムを厳重に守っていても、問い合わせフォームのデータを預けた先が侵害されれば、同じ被害に巻き込まれます。IDCFクラウドの件は、クラウド基盤という「復元の前提」が崩れた場合の話です。バックアップを自社でも別経路で持っているかどうかで、復旧にかけられる時間と選べる手段が変わります。政府の注意喚起が委託先管理と情報の最小化を並べて求めているのは、この二つの穴を同時に塞ごうとする動きだと読めます。 判断条件として押さえられるのは、委託先に渡すデータの範囲と、クラウド側の障害時に自社だけで復元できるデータがどこまで残るか、という二点です。委託先を使うこと自体をやめる選択は現実的ではありません。問い合わせ対応や決済処理など、外部サービスに頼らざるを得ない業務は多くの企業にとって日常です。だとすれば、渡す情報を減らすこと、そして復元を外部任せにしない体制を自社側にも持つことが、現実的な防衛線になります。UDトークが別基盤での再構築に切り替えられたのは、手元にデータが残っていたからです。この「手元に残す」という発想が、クラウド依存の時代における事業継続の最低条件になりつつあります。 ただし、今回の事案だけでは分からないことも残ります。委託先管理について、どこまで確認すれば「必要最小限」とみなされるのか、再委託先まで含めてどの範囲を点検すべきかという実務上の線引きは、政府の注意喚起からは読み取れません。また、IDCFクラウドの495という影響企業・自治体数のうち、実際にデータ復元が困難だったのがどの範囲に及ぶのかも、公開情報からは分かりません。バックアップ体制を自社でどこまで二重化すべきかという費用対効果の判断も、今回の素材には示されていません。自社がどの委託先にどんなデータを渡し、クラウド障害時にどこまで自前で復元できるのか。その棚卸しは、各企業が自分の手で確認するほかない段階です。 出典リンク: ITmedia NEWS ITmedia NEWS 日経クロステック 数字で見る今週 226億ドル — 仏シュナイダーエレクトリックが米PTCを買収する際の総額です。設計ソフトと設備運用管理を組み合わせる動きで、製造業向けITツールの選定や導入計画を見直す企業は、今後のライセンス体系や保守方針の変化に注意が必要です。(日経クロステック) 34億ドル — 仏Mistral AIが9月のシリーズDで調達した金額です。欧州発のAIモデル開発への投資が継続しており、自社のAI活用で特定ベンダーに依存するか複数選択肢を残すか、調達戦略を考える参考情報となります。(Tech.eu) 100% — あるエンジニアが指摘した、ターミナル支援ツールへの注目の高まりがリモートアクセスの設計不備に起因するとの見立てに対する割合です。社内の遠隔作業環境やツール選定の背景を理解する手がかりになります。(lobste.rs) 40% — Linuxのx32 ABIを使うと特定のベンチマークで通常の64bit実行より高速化した割合です。社内システムの性能改善やコスト削減を検討する技術部門にとって、メモリ効率化の選択肢の一つとして参考になります。(en.wikipedia.org) 1% — 米政府によるH-1Bビザ関連の制限発表を受け、マイクロソフト株が下落した割合です。海外人材の採用や移民政策に依存する事業を持つ企業は、同様の規制強化による人材調達リスクを点検する契機となります。(Ars Technica) 20% — ガートナーが予測する、FDEによる顧客ニーズをベンダーの中核製品に反映できる割合の見込みです。AIベンダーとの共同開発を検討する企業は、契約終了後の技術的自立性をあらかじめ確認しておく必要があります。(ITmedia AI+) 来週の予定表 10月20日〜 — Androidのマイナンバーカードの提供が開始され、物理カードなしでも本人確認等が可能になる。(ITmedia NEWS) 2026年10月29日 — AWSの一部サービスがメンテナンスモードに移行し、新規顧客からのアクセスができなくなる。(AWS Blog) 今月後半 — Mistralのマルチモーダルモデル「Mistral Large 4」が正式に公開され、API経由で利用可能になる。(Tech.eu) 10月中旬 — シチズン時計が不正アクセスを受けた旧問い合わせ受付システムの利用を終了し、情報をすべて削除する。(ITmedia NEWS) 2028年まで — ベンダーのFDEにより開発されたAIエージェントの70%が企業に放棄されるとガートナーが予測。(ITmedia AI+) 2030年まで — 1兆パラメータを持つLLMの推論コストが90%以上削減されるとガートナーが予測。(ITmedia AI+) 10月末 — Mistral AIの最大モデル「Mistral Large 4」の重みがオープンウェイトとして公開される。(ITmedia AI+) 今秋 — 検索バーからクイックアクションを実行できるWindows 11の新しい検索機能が提供開始される。(The Verge) Java PDF/画像処理ライブラリをお探しですか? JPedal(PDF描画・変換)・JDeli(画像処理)で高精度な処理を実現 詳しくはこちら ...

2026年10月11日 · 1 分 · InTech News

国家サイバー統括室が注意喚起、委託先管理を要請

不正アクセスによる情報漏洩が国内で相次ぐなか、国家サイバー統括室が2026年10月9日、大量の個人情報を扱う事業者向けに注意喚起を公表しました。委託先や再委託先の管理状況まで確認するよう求めている点が、企業にとっては見落としがちな宿題になりそうです。前日には古川俊治サイバー安全保障担当相が「大変危急の状況」と述べ、29組織が集まる会議も開かれていました。 国家サイバー統括室が注意喚起、委託先管理を要請 国家サイバー統括室、通称NCOが2026年10月9日に公表した注意喚起は、Webシステムの脆弱性の悪用やサプライチェーンを通じた侵害、データ管理の不備などによって個人情報を含むデータが盗まれる事案が複数確認されたことを踏まえたものです。対象は大量の個人情報や機微な情報を扱う事業者で、パッチの迅速な適用や多要素認証の導入が促されています。 今回の注意喚起で目を引くのは、委託先や再委託先の管理状況を継続的に確認するよう求めている部分です。漏洩時の被害拡大を抑えるため、委託先に提供する情報を必要最小限にとどめることや、利用目的を終えた情報を速やかに削除することも促されています。自社のシステムだけでなく、データを渡している先の管理体制まで視野に入れる必要がある、という要請です。 公表に先立つ10月8日には、NCOが「不正アクセスによる漏えい等の事案を踏まえた関係省庁会議」を開催しています。会議には全府省庁や外局など29組織が参加しました。出席した古川俊治サイバー安全保障担当相は「大変危急の状況となっている。政府一丸となって対処を進める必要がある」と述べています。政府側が一つの会議体に29組織を集めたという点から、事態への向き合い方の一端がうかがえます。 日経クロステックが報じているところによると、今回の情報漏洩をめぐっては、複数の専門家への取材から「AIを活用したサイバー攻撃」が本格化し始めた可能性が浮かび上がっているといいます。ただし、この可能性がどの程度の確度を持つものか、具体的にどの事案がAI活用攻撃に該当するのかについては、出典記事の範囲では詳細が示されていません。 事業者に求められる対応、出典が示す範囲 注意喚起が挙げている対応策は、パッチの迅速な適用、多要素認証の導入、委託先・再委託先の管理状況の継続確認に加え、委託先に提供する情報の必要最小化や利用目的を終えた情報の速やかな削除も含まれます。いずれも目新しい技術ではありませんが、「継続的に」という言葉が添えられている点は軽視できません。一度確認して終わりではなく、繰り返し点検する体制を求めている、という読み方ができます。 出典記事では、具体的にどの事業者がどの手口で被害を受けたのか、個々の事案名までは明らかにされていません。注意喚起の対象は「大量の個人情報や機微な情報を扱う事業者など」という括りで示されており、そうした事業者に向けたメッセージだと受け止められます。 一方で、AIを活用したサイバー攻撃という論点については、専門家の見立てという形で紹介されているにとどまります。注意喚起そのものが「AI攻撃への対策」として設計されたのか、それとも従来型の脆弱性悪用やサプライチェーン侵害への対策として出されたものにAIの論点が重なっているのか、出典記事の記述だけでは切り分けが難しい部分です。この点は、今後の続報を待って確認する必要があります。 委託先管理についても、具体的にどのような基準で「必要最小限」を判断すべきか、再委託先まで含めてどこまで確認すればよいのかという実務上の線引きは、今回の注意喚起の内容からは読み取れません。企業側が自社の委託構造に照らして個別に検討する余地が残っています。 用語補足:サプライチェーンを通じた侵害 今回の注意喚起が踏まえた事案には、Webシステムの脆弱性の悪用やデータ管理の不備などと並んで、サプライチェーンを通じた侵害も要因の一つとして挙げられています。自社の防御を固めても、委託先や取引先など外部との関わりの中で生じる要因まで考慮する必要がある、という構図です。今回の注意喚起が委託先・再委託先の管理確認を求めているのも、こうした要因を踏まえたものと読めます。ただし、出典記事は具体的な侵害の経路までは定義しておらず、今回確認された事案のうちどの程度がこの要因によるものかという内訳も明らかにされていません。 注目ニュース SonicWallの最高深刻度脆弱性、修正公開の3日後に攻撃を確認 SonicWallのSMA1000アプライアンス(6210、7210、8200vの各モデル)に存在する最高深刻度の脆弱性CVE-2026-102255が、修正パッチ公開からわずか3日で攻撃に使われていることが分かりました。研究者のRyan Dewhurst氏はBleepingComputerの取材に対し、自社のハニーポット網でこの脆弱性に一致する攻撃の試みを検知したと説明しています。攻撃者が認証情報「admin:admin」を使って内部サービスに到達しようとする挙動が確認されたとのことです。ただし、実際にシステムが侵害されたかどうかまでは確認されていません。Shadowserverは400台を超えるSMA1000アプライアンスがインターネット上に公開されていると追跡していますが、パッチ適用済みかどうかの内訳は不明です。BleepingComputer 米政府、Microsoftなど複数社の永住権スポンサーを一時停止 トランプ米政権は、MicrosoftやAdobeなど複数のテック企業を、永住権申請を支援するPermプログラムから一時的に除外したと発表しました。ヴァンス副大統領は「どの企業よりもMicrosoftがこの制度を悪用した」と述べ、アメリカ人労働者を外国人労働者に置き換えていると批判しています。この発言に対し、インド政府は「植民地主義を想起させる表現だ」と反発しました。Cognizant、Infosys、Tata、Wipro、HCL、Capgeminiの6社も同様に対象となっています。Microsoftは「米国内の従業員の大半はアメリカ人だ」と反論しており、同社の株価は発表後に1%超下落しました。Ars Technica さくらインターネット、GPU専有の定額AIサービスを開始 さくらインターネットは2026年10月8日、企業がGPUを専有して利用できる「さくらのAI Engine プライベートエディション」の提供を始めました。従来の従量課金型「さくらのAI Engine」とは異なり、GPU単位の月額定額制のため、トークン消費量を気にせず安定した環境で利用できるとしています。独自開発モデルやファインチューニング済みモデル、オープンウェイトモデルなど複数の大規模言語モデルを専有環境でマネージドサービスとして利用可能です。国内データセンターで稼働し、閉域接続にも対応するといいます。料金は問い合わせベースで、公開情報だけでは具体的な金額水準を判断する材料が不足しています。Publickey 編集後記:委託先管理という宿題の重さ 今回の注意喚起を読み返すと、パッチ適用や多要素認証といった項目は以前から繰り返し言われてきた基本動作です。その中で「委託先や再委託先の管理状況を継続的に確認する」という一文は、自社の壁の外側まで責任の範囲を広げるよう促すものに見えます。どこまでを自社の管理対象とみなすか、という線引きの難しさは、注意喚起の文面だけでは解消されません。AIを活用した攻撃という論点も専門家の見立てとして紹介されている段階で、どの事案がそれに該当するのかは明らかにされていません。続報が出た際に、具体的な事案と対策の対応関係を確認したいところです。

2026年10月10日 · 1 分 · InTech News

開発者Hailey、x32でMastodonのメモリ使用量を650MBから350MBへ

Linuxでプログラムを動かすとき、ポインタのサイズが8バイトか4バイトかで、メモリの使い方や速度が変わります。今日は、この「x32 ABI」という仕組みをJanet言語で検証した、ある開発者の実装知見を掘り下げます。32ビットポインタのまま64ビットの命令セットを使うことで、メモリを抑えつつ速度も保てるという話ですが、主要ディストリビューションでの扱いにはばらつきがあり、検証には古いUbuntu環境まで持ち出す必要がありました。 開発者Hailey、x32でMastodonのメモリ使用量を650MBから350MBへ x32 ABIとは、かみ砕いて言えば「住所の書き方を短くすることで、荷物の置き場所を増やす」ような仕組みです。64ビットCPUの命令セットはそのまま使いながら、メモリ上の番地(ポインタ)だけを32ビット、つまり半分のサイズで扱います。番地情報が小さくなる分、同じキャッシュやメモリに収まるデータが増え、プログラムが軽く速く動く余地が生まれます。 この仕組みを実際に検証したのが、開発者Alex Alejandre氏による記事です。Lobstersに掲載されたこの記事には、開発者Haileyによるコメントが引用されており、そこでは「ポインタを多用するヒープを持つプログラムでは、64ビットシステムでも32ビットポインタを使うことで、メモリをほぼ半分近くまで節約でき、キャッシュに収まるデータが増える分、プログラムの速度も多少上がる」と説明されています。Haileyが実際にMastodonをx32 ABI上で動かしたところ、アプリのメモリ使用量は650MBから350MBへ下がったとされています。半分弱の削減にあたり、仕組みが成立すれば効果はそれなりに具体的だと分かります。 ただし、同じコメントでHaileyは「この仕組みはLinuxのx32 ABIで実現できるが、悲しいほど使われておらず見過ごされている」とも述べています。Debianではデフォルトで無効化されており、ブートフラグを立てれば有効化できるものの、Arch Linuxに至ってはそもそもコンパイルに含まれていません。ソフトウェアの大半はx32向けにビルドできるものの、パッケージがほとんど存在しないため、ほぼ自力でビルドし直す必要があるという条件も明記されています。Haileyはその理由を「地道な調整と周知の作業が中心で、自分一人で推し進める時間や意欲がない」と説明しており、技術的な障害というより、普及のための手間が足かせになっているという位置づけです。 この「ILP32をx86-64上で使う」という設計思想自体は新しいものではありません。Wikipediaの記述によれば、Solarisは以前からSPARCとx86-64の両方でこうしたユーザー空間を提供しており、Debianも同様のILP32ユーザー空間を持っています。x32 ABIが優れているとされる計測結果として、SPEC CPU 2000の181.mcfベンチマークでは、x32版がx86-64版より40%速かったという記録があります。また、SPEC CPU整数ベンチマーク全体では平均5〜8%速く、浮動小数点ベンチマークでは速度面の優位はなかったとされています。この数値を基準に考えると、Haileyが報告したMastodonのメモリ削減幅は、ベンチマークで確認されている速度面の効果とは別の軸の成果だと分かります。 x32 ABIの経緯についても出典は明記しています。Athlon 64が2003年に登場して以降、32ビットポインタを持つx86-64 ABIの利点は複数の人物が議論してきたとされ、2008年にはDonald Knuth氏もこの点に言及したと記録されています。実装が公に進み始めたのは2011年8月27日で、Hans Peter Anvin氏がLinuxカーネルメーリングリストでH. J. Lu氏との共同作業を発表しました。同日、Linus Torvalds氏はx32 ABIが32ビットの時刻値を使うことへ懸念を示し、これが2038年問題につながる点を指摘したとされています。この指摘を受けて、開発チームは時刻値を64ビットへ変更しました。x32 ABIはLinuxカーネル3.4でマージされ、GNU C Libraryのバージョン2.16でサポートが追加されています。2018年12月には非推奨化の議論がありましたが、2023年4月時点では実施されておらず、2024年5月には新しい開発の動きも見られたと記されています。 開発者Alejandre、Arch LinuxとUbuntuでの検証結果を提示 Alejandre氏自身の検証は、出典記事がどこまで説明しているかという範囲に沿って追うと輪郭がはっきりします。氏はまずArch系のCachyOSで、lib32-glibcとlib32-gcc-libsを使ってビルドを試みました。Archはx32 ABI自体をコンパイルに含めていないため、代わりに-m32フラグを使うしかありません。その結果について、Alejandre氏は「20%のメモリ削減、しかし50%遅くなった」とまとめています。-m32は従来の32ビットx86モードで、レジスタを8個しか使わないため、Haileyが説明した「64ビット命令セットのまま32ビットポインタを使う」という本来のx32 ABIの効果とは異なるというのが、Alejandre氏の見立てです。速度面の効果を得るには-mx32フラグが必要ですが、Arch環境ではLinuxカーネル自体を再コンパイルしない限りそれができないと記事は述べています。Ubuntuについても、サポートが落とされている点が併記されています。 そこでAlejandre氏が検証環境として選んだのが、サポート期限を終えたUbuntu 20.04 LTS(Focal Fossa)でした。標準サポートは2025年5月31日に終了しているとされ、gccのバージョンは9.4.0とやや古いものの、build-essential、git、gcc-multilib、libc6-dev-x32といった必要なパッケージは揃っていたと記事は説明しています。この環境で32ビット版と64ビット版のビルドスクリプトを用意し、words.janet(テキストを単語に分割して数え、ソートする処理)、records.janet(構造体を部門ごとにグループ化して集計する処理、実際のコードに近い未使用フィールドを含む)、parse.janet(PEGで行を解析して合計する処理)という複数のベンチマークを走らせたとされています。一方で、型付きC配列を使って速度を稼ぐdeclarative-dslsについては、こうしたポインタサイズ縮小の恩恵をあまり受けない「最悪のケース」だとAlejandre氏自身が位置づけています。具体的な速度・メモリの数値そのものは、今回確認した出典の抜粋には記載がありません。 この検証を踏まえ、Alejandre氏は「Linuxディストリビューションは-mx32サポートを含めるべきで、デーモンやユーティリティは日常的なコンピューティングのためにこの形式でコンパイルされるべきだ」と主張しています。フラグ一つのコストで得られる効果だという立場です。さらに、Janet言語自体の実装についても言及があり、Janetのヒープオブジェクトはガベージコレクタのために16バイトを使っているとされ、構造体やテーブルでは配置を見直すことで8バイトを取り戻せる可能性がある、一方でglibcのmallocが8バイトを追加し16バイト単位に切り上げるため、構造体自体のサイズは変わらないだろうという技術的な見通しも記されています。この部分はAlejandre氏の考察であり、実装済みの成果ではない点には注意が必要です。 用語補足:x32 ABI x32 ABIは、64ビットCPUの命令セットと高速化機能(レジスタ数の多さ、浮動小数点性能、位置独立コードの高速化など)を使いながら、プログラム内のポインタだけを32ビットに抑える仕組みです。アドレス空間は4GiBに制限されますが、ポインタが小さい分メモリ使用量が減り、キャッシュに収まるデータが増えることで速度にも効果が出る場合があります。ただし、この記事で示されている「40%高速化」はSPEC CPU 2000の特定ベンチマーク(181.mcf)での数値であり、全プログラムに同じ効果があるわけではありません。整数演算全般では5〜8%程度、浮動小数点演算では優位なしとされており、Mastodonでのメモリ削減(650MBから350MB)は、このベンチマーク計測とは別の実環境での報告である点も区別して読む必要があります。 注目ニュース Lobstersの投稿者たち、プログラミングの「勘」を共有 lobste.rsのスレッドでは、検証していない技術的な「勘」を募る投稿に、複数の反応が寄せられています。ある投稿者は、クロスプラットフォームGUIツールキットをレンダリングではなくアクセシビリティから設計し始める方が、より早く完成度の高いツールキットに到達できるという見立てを述べています。別の投稿者は、アクセシビリティツリーが開発初期から存在することで、テストの書きやすさやダークモード対応など、開発者がアプリの挙動を検証しやすくなる可能性を挙げています。duckdbがparquetファイルから必要なバイト列だけを取り出せるかを深掘りしたいという声もあり、いずれも検証済みの結論ではなく、今後確かめたい仮説として語られています。 Anthropic、Claude Haiku 5.5をGPT-6 Lunaと同価格で発表 Anthropicは新しい低コストモデル「Claude Haiku 5.5」を発表しました。Simon Willison氏のブログによると、前身のHaiku 4.5は入力100万トークンあたり1ドル、出力5ドルという価格で、先行月に登場したOpenAIのGPT-6 Lunaの10倍の価格だったとされています。新しいHaiku 5.5は、10万トークンまでは入力0.10ドル・出力0.50ドルとLunaと同額に設定され、10万トークンを超えると価格は5倍の入力0.50ドル・出力2.50ドルへ上がります。Luna自身も27万2000トークンを超えると価格が上がりますが、上昇幅は入力0.20ドル・出力0.75ドルにとどまるとされています。Willison氏はまた、Haiku 5.5が新しいトークナイザーを採用した結果、同じ長文プロンプトでもHaiku 4.5よりおよそ1.25倍のトークン数を消費すると指摘しており、これは表には出ない価格上昇にあたると述べています。10万トークン以内の用途ではLunaと同価格でベンチマークスコアも高いとされる一方、それを超える用途ではLunaの方が有利だという比較がなされています。 編集後記:フラグ一つのコストという表現の射程 Alejandre氏が記事で使った「フラグ一つのコスト」という言葉が印象に残ります。-mx32という一行の指定だけで効果が得られるという主張ですが、同じ記事は、Arch Linuxがそもそもx32 ABIをコンパイルに含めていないこと、Ubuntuもサポートを落としていることを並べて書いています。つまりフラグ一つで済むのは、OS側がその選択肢を用意している場合に限られるという条件が、文章の中にすでに織り込まれています。検証のためにサポート終了済みのUbuntu 20.04まで持ち出した経緯からも、今この仕組みを試すこと自体に相応の環境準備が要ることがうかがえます。普及が進んでいない理由をHaileyは「技術より調整と周知の手間」だと述べていましたが、Alejandre氏の検証過程は、その手間の中身を具体的に示す記録になっています。

2026年10月9日 · 1 分 · InTech News

IDCフロンティア、495の企業・自治体への影響を公表

ソフトバンク子会社のIDCフロンティアが運営する法人向けクラウドサービス「IDCFクラウド」で10月7日午前3時40分ごろに発生した障害は、第三者によるランサムウェア攻撃が原因と判明し、影響は495の企業・自治体に及んでいます。IDCフロンティアは一部の利用企業へ「データの復元は難しい」と伝えており、復旧できるかどうかは個社ごとに状況が分かれ、全体像はまだ見えていません。 IDCフロンティア、495の企業・自治体への影響を公表 ソフトバンク子会社のIDCフロンティアは10月7日、法人向けクラウドサービス「IDCFクラウド」で発生していた障害について、第三者によるランサムウェア攻撃が原因だったと明らかにしました。影響範囲は495の企業・自治体に及ぶとしています。 障害が起きたのは福島県白河市のデータセンターにある「東日本リージョン1」で、同日午前3時40分ごろから発生しました。一部システムが第三者からの不正アクセスを受けた影響とされています。同社は安全確認のため、他のリージョンでも利用者が外部からアクセスする管理コンソールを停止しました。再開は安全が確認でき次第としており、時期は明示されていません。 障害の発表を受け、同日朝から利用企業によるサービス停止や機能不具合の公表が相次ぎました。EC事業者向けサービスを手掛けるグリニッジでは、在庫管理ツール「らくらく在庫」と商品価格を自動更新する「らくらく最安更新」が停止し、店舗運営支援ツール「ウルトラASP」の一部にも影響が出ています。セキュリティ製品を提供するフーバーブレインは、PCの操作ログ管理サービスやセキュリティ製品の管理画面にアクセスできなくなりました。音声認識アプリ「UDトーク」を手掛けるShamrock Recordsも、公開トークへの参加・閲覧・編集や管理ツールへのアクセスができない状態になっています。シックス・アパートの「Movable Type クラウド版」でも、東日本第1リージョンのサーバ31台で管理画面や公開サイトにアクセスできなくなりました。 IT業種に留まらず、日本バスケットボール協会やラジオ関西、カプセルホテル「安心お宿」、カラオケチェーン「カラオケパセラ」なども同日、Webサイトや関連システムの障害を案内しています。これらはIDCFクラウドとの関連を明記していませんが、パセラの公式Xアカウントは「国内大手のクラウドサーバーで東日本を中心に大規模なシステム障害が発生している影響」と説明しました。茨城県や小平市などの自治体、Jリーグクラブ、東武動物公園でもWebサイトが閲覧できない状態が相次ぎ、JRAシステムサービスの海外競馬情報サイト「JRA-VAN World」も同日午前3時40分ごろから全サービスが利用できなくなっています。ただし、これらの一部はクラウドサービスやサーバ管理会社の障害を原因としつつも、IDCFクラウドとの関連は公表していません。ITmedia NEWS 一部企業が明かす「データ復元は難しい」という通達 影響を受けた企業からは、データの復旧状況に関する報告も相次いでいます。イラストなどのコミッションサービス「SKIMA」は、一時はデータの復旧が「非常に難しい状況」だったとしながらも、その後、復旧に利用できるデータが残っていることを確認したと説明しました。復旧には時間がかかる見込みとして、データを可能な限り元の状態に戻す作業を進めているとしています。 一方、音声認識アプリ「UDトーク」の公式Xアカウントは、IDCFクラウド側から「データの復元は難しい」との連絡を受けたと説明しています。同アカウントは別のクラウド基盤で環境を再構築し、手元にあるデータから復元する方針を示しました。 この二つの事例を並べると、同じ障害でも企業によって復旧の見通しが異なっていることが分かります。SKIMAは一時はデータの復旧が非常に難しい状況だったものの、その後、復旧に利用できるデータが残っていることを確認しましたが、UDトークはIDCFクラウド側から復元困難との通達を受け、自前での再構築に切り替えています。どちらのケースも、障害発生から今回確認できた時点までの経過であり、最終的にどこまでデータを復元できるかは明らかになっていません。495という影響企業・自治体数の内訳や、復元が難しいとされた対象がどの範囲に及ぶのかについても、出典の記事では示されていません。 用語補足:ランサムウェア攻撃 今回の障害では、IDCフロンティアが障害原因をランサムウェア攻撃と説明していますが、具体的な攻撃の手口や身代金要求の有無、金額、攻撃者の素性については出典の記事に記載がありません。あくまで「原因がランサムウェア攻撃だった」という点と、「一部企業へデータ復元が難しいとの通達があった」という点が、現時点で確認できる事実です。復旧の可否や期間は企業ごとに異なるため、個別の発表を確認する必要があります。 注目ニュース ガートナー、FDEが開発したAIエージェントの7割は使われなくなると予測 米調査会社ガートナーは、ベンダーのフォワードデプロイドエンジニアリング(FDE)によって開発されたAIエージェントの70%が、2028年までに企業に使われずに放棄されるとの予測を明らかにしました。FDEは本来、ベンダーのエンジニアが顧客企業の現場に入り込み、顧客固有の課題に合わせてAIサービスを共同開発する手法ですが、同社シニアディレクターアナリストのMukul Saha氏は、多くのプロバイダーが実装支援やコンサルティングの呼び名として「フォワードデプロイド」という言葉を使っていると指摘しています。ガートナーは、FDEの継続的な顧客ニーズをベンダーのコア製品へ反映できるのは全体の20%未満にとどまり、コンサルティングサービスがFDEとして販売される「FDE洗浄」のリスクも高まると予測しています。ITmedia AI+ SonicWall、CVSS10.0の脆弱性にパッチを公開 SonicWallは、リモートワーカーが社内ネットワークやアプリケーションへアクセスするためのゲートウェイ製品「SMA1000」シリーズにおいて、4件の脆弱性に対するホットフィックスを公開しました。最も深刻な脆弱性は、ログインなしの攻撃者が機器を経由してリクエストを送信し、内部機能へ到達できる可能性があるというもので、CVSS基準で最高値の10.0と評価されています。The Hacker News Mistral AI、1兆パラメータ超のMistral Large 4を発表 仏Mistral AIは10月6日(現地時間)、同社最大のAIモデル「Mistral Large 4」のパブリックプレビュー版を公開しました。総パラメータ数1兆500億、推論時のアクティブパラメータ数490億のMoE型モデルで、画像を扱えるネイティブマルチモーダル設計と、指示応答・推論を切り替えられるハイブリッド型構成を備えています。コンテキスト長は100万トークンで、API料金は100万トークン当たり入力1.36ドル、出力4.18ドルです。同社によると、実在するオープンウェイトソフトウェアの脆弱性を再現してからパッチを当てるテストで、全モデル中最高の82%を記録したとしています。モデルの重みは10月末にオープンウェイトとして公開される予定です。ITmedia AI+ Microsoft、CopilotにPC内ファイルへのアクセス権限を付与 Microsoftは、Windows and Surfaceイベントで、AIアシスタント「Copilot」のアップグレードを発表しました。ローカルPC内のファイルへアクセスし、OS全体で操作を実行できるようになるというもので、クラウドとローカルのAIモデルを組み合わせる「Hybrid Intelligence」という構想の一部です。デモでは、Microsoftの「Autopilot」ツールに確定申告の書類準備を依頼すると、フォルダを横断して書類を探し出し、ファイル名を変更してZIPにまとめ、会計士へ送るメールの下書きまで作成する様子が示されました。Hybrid Intelligenceを活用した機能は今後数カ月で順次提供される予定です。The Verge 編集後記:復旧の分かれ目 SKIMAとUDトーク、同じIDCFクラウドの障害に巻き込まれた2つのサービスが見せた現時点での復旧方針の違いが気になっています。一方は一時データの復旧が非常に難しい状況だったものの、復旧に利用できるデータが残っていることを確認し、もう一方はクラウド側から復元困難と伝えられ、別基盤での再構築に動きました。何が明暗を分けたのか、出典の記事ではその理由までは説明されていません。495という数字の裏には、このような個別の判断と対応がそれぞれの現場で進んでいるはずです。IDCフロンティア側の説明がどこまで詳細になるか、続報を待ちたいところです。

2026年10月8日 · 1 分 · InTech News

シュナイダーエレクトリック、PTCを226億ドルで買収

フランスのシュナイダーエレクトリックが、米PTCを226億ドル(約3兆5,700億円)で買収すると発表しました。発表直前の終値に対して42.3%のプレミアムを乗せた価格です。設計支援ソフトと設備運用管理を一体化する動きですが、買収完了の時期や各国の規制審査については、今回確認した発表内容だけでは分かりません。 シュナイダーエレクトリック、PTCを226億ドルで買収 フランスの電機大手シュナイダーエレクトリックが2026年10月5日、米PTCを買収すると発表しました。買収額はPTCの株式価値ベースで226億ドル(約3兆5,700億円)。PTCの全株式を現金で取得する内容で、1株あたり205米ドルという価格です。これは発表直前の最終終値に対して42.3%のプレミアムを上乗せした水準になります。 PTCは1985年に設立された会社です。当初はParametric Technology Corporationという社名で、数学的な基盤によって設計作業の自動化を支援する3D-CADをいち早く製品化し、成長してきました。1998年には同業の米Computervisionを買収し、その子会社でPLM(製品ライフサイクル管理)ツールを開発していたWindchill Technologiesをグループ企業としました。その後もIoT対応やソフトウエア開発支援、設備運用支援へと事業領域を広げてきた経緯があります。 今回の買収についてシュナイダーエレクトリックは、「物理世界とデジタル世界の融合」と「設計・構築から運用・保守まで、顧客のシステムの最適化」を目指すとしています。PTCが強みとする開発設計や機械設備運用向けの支援ソフトウエアと、シュナイダーエレクトリックが持つ設備資産の運用管理システムを組み合わせる狙いとみられます。これまで同社グループでは英AVEVAが設備資産の運用管理システムを提供してきましたが、顧客はプラント系が多いといいます。PTCの買収によって、製品設計やエンジニアリングといった上流工程への拡張を図る動きと読み取れます。 日経クロステックの報道によると、PTCの立場からは「より多くの地域や市場へと事業を拡大できる」という利点があります。PTCは自動車や電機など、個別の製品を組み立てるディスクリート系と呼ばれる分野に強みを持つ一方、プラント系には開拓の余地があるとされています。シュナイダーエレクトリック側は「グローバルな展開力、市場へのアクセス、エネルギー・産業分野の専門知識がPTCの顧客基盤を拡大する」とコメントしています。 買収がもたらす事業の組み合わせ 今回の買収で焦点になるのは、両社が手がける領域の違いです。PTCは3D-CADをいち早く製品化し、1998年に買収した米Computervisionの子会社でPLMツールを開発していた米Windchill Technologiesをグループ企業とした後、IoT対応やソフトウエアの開発設計支援、設備運用支援へと事業領域を広げてきました。一方でシュナイダーエレクトリックは、AVEVAを通じてプラントなど設備の運用管理システムを提供してきた経緯があります。つまり「設計する側」と「動かし続ける側」のソフトウエアが、一つのグループに収まる形になります。 発表文が示す「設計・構築から運用・保守まで」という表現は、この二つの工程をつなげる狙いを端的に表しています。ただし、具体的にどの製品とどの製品が統合されるのか、価格体系がどう変わるのかといった詳細は、今回の発表内容だけでは分かりません。買収完了後の実務的な統合作業がどう進むかは、今後の発表を待つ必要があります。 42.3%というプレミアムの水準は、PTCの株主にとって発表前の市場評価を上回る条件が提示されたことを示しています。買収総額はPTCの株式価値ベースで約3兆5,700億円です。 用語補足:PLM(製品ライフサイクル管理) PLMとは、製品ライフサイクル管理を意味する略称です。PTCは1998年に買収した米Computervisionの子会社で、PLMツールを開発していた米Windchill Technologiesをグループ企業としました。今回の買収で語られる「設計・構築から運用・保守まで」という表現は、PTCの製品設計・エンジニアリング領域と、シュナイダーエレクトリックの運用管理領域を指すものです。ただし、具体的な製品統合の形までは発表内容からは読み取れません。 注目ニュース Atlassian、Jira・Confluenceの脆弱性を警告 Atlassianは、自社ホスト型のConfluence、Jira、Bitbucketなどのデータセンター製品に影響する深刻な脆弱性(CVE-2026-21589)について顧客に注意を呼びかけています。認証されていない攻撃者がWebルート配下の特定ファイルへアクセスできる内容ですが、悪用には対象ファイルの正確な名前とパスを事前に知っている必要があるとされています。ディレクトリの一覧表示はできない仕組みです。クラウド版の顧客は対応不要で、自社運用の管理者には修正版の適用が呼びかけられています。Atlassianは現時点でこの脆弱性が実際の攻撃に使われた証拠はないとしつつ、アクセスログの確認を促しています。BleepingComputerが報じました。 Mistral、1兆パラメータの新モデルを発表 フランスのAI企業Mistralが、同社史上最大となる1兆パラメータのマルチモーダルモデル「Mistral Large 4」(愛称le Chonk)を発表しました。同社は、米国や欧州で開発されたオープンウェイトモデルを上回る性能があるとしています。コーディングやエージェント型のワークフロー、マルチモーダル理解で性能を発揮するとし、サイバーセキュリティや金融、法務といった分野ではオープンモデルの中で最高水準にあると主張しています。現在は開発者向けにプレビュー公開されており、今月中にモデルの全面提供を予定しています。これとは別に、Mistralは自社のAPI経由でも提供する計画としていますが、時期は示されていません。Mistralは9月のシリーズDで34億ドル(約5,380億円)を調達し、評価額は240億ドル(約3兆7,900億円)とされています。Tech.euが報じました。 シチズン時計、委託先への不正アクセスで情報漏えいの可能性 シチズン時計は10月6日、問い合わせ受付業務の委託先への不正アクセスにより、約10万人分の個人情報が漏えいした可能性があると発表しました。対象は「シチズン」「ブローバ」「フレデリック・コンスタント」の各Webサイトの問い合わせフォームで受け付けた氏名、住所、電話番号、メールアドレスなどです。原因はスカラコミュニケーションズが提供するFAQシステムへの不正ログインで、同時期に大和証券でも同じサービスを通じて約22万件の情報漏えいの可能性が発表されています。スカラによると、同じサーバ上で最大5社分、延べ最大71万3126件の問い合わせ情報が影響を受けた可能性があるとのことです。シチズン時計は自社システムへの不正アクセスは確認していないとしています。ITmedia NEWSが報じました。 編集後記:プレミアムの水準が語る条件 今回の買収で目を引くのは、42.3%というプレミアムの数字です。発表前の株価に対してこれだけ上乗せした価格を提示したという事実は、シュナイダーエレクトリックがPTCの技術と顧客基盤に相応の価値を見出したことを示しています。一方で、この取引が実際にどう統合され、両社の顧客にどんな変化をもたらすのかは、発表文からはまだ見えてきません。設計から運用までを一体化するという方向性は示されていますが、その実装がどんな形を取るのかは、今後の情報を待つしかない段階です。

2026年10月7日 · 1 分 · InTech News

Supabaseが1サーバで数百万のSQLiteを扱うTursoを買収

Supabaseが、SQLiteベースのデータベースサービス「Turso」を買収したと発表しました。1台のサーバで数百万のデータベースを動かせる仕組みが、AIエージェントによる新規データベース生成の増加に対応する狙いだと説明されています。データベースを起動していない間はストレージ料金のみで済む点も特徴とされており、何が変わり、何がまだ分からないままなのかを整理します。両社はこの買収を、AIエージェント時代に対応したデータベース基盤を築く取り組みの一環だとしています。 Supabaseが1サーバで数百万のSQLiteを扱うTursoを買収 PostgreSQLベースのデータベースサービスを提供するSupabaseが、SQLite互換のデータベースサービス「Turso」の買収を発表しました。Tursoは「Turso Cloud」という名称でSQLite互換のデータベースサービスを提供しており、1つのサーバで数百万ものデータベースをホストできると説明しています。 SQLiteはもともとアプリケーションに組み込むことを想定した小型のデータベースです。実行が終了すればプロセスも終了し、データベース自体は単体のファイルに保存されるという、非常にシンプルな構造を持っています。この軽さが、1サーバあたり数百万という規模のホスティングを可能にしている背景です。料金体系についても、データベースを起動していない間はストレージ料金のみが発生する仕組みになっており、迅速かつ安価に大量のデータベースを用意できる点が特徴だとされています。 Supabaseはこの買収の理由として、AIエージェントの普及によるデータベース需要の増加を挙げています。AIエージェントはプロトタイプやダッシュボード、アプリケーションのデータ基盤、あるいはデータ分析など、さまざまな用途で新しいデータベースを次々に立ち上げる存在です。Supabaseは、AIエージェントが今後より多くのソフトウェアを構築するにつれてデータベースの需要はさらに増えていくとし、その需要は現在の世界中のデータベースサービスの能力を上回ると考えているとしています。 同時に指摘されているのが、こうしたAIエージェント由来のデータベースは最初は小規模なもので足りるという点です。起動が速くコストの小さいSQLiteのようなデータベースは、この用途に適している。だからこそSupabaseはTursoを取り込んだ、という説明の筋道になっています。Publickey TursoのSQLite互換技術と開発中の新機能 Tursoは、SQLiteをフォークした「libSQL」という実装を用いてTurso Cloudを提供しています。SQL文やC言語のAPI、データベースのファイルフォーマットについてSQLiteとの互換性を維持しながら、MVCC(Multi-Version Concurrency Control)による並列書き込み、非同期I/O、ベクトルサーチ、暗号化といった機能を備えています。 Amazon S3上に構築されたデータベースサービスとして、イレブンナイン(99.999999999%)の堅牢性を謳っており、最大90日間のバックアップと時間指定での復元に対応しています。レプリケーションのサポートに加え、既存データベースからのブランチ作成、WebAssembly版によるWebブラウザ上での実行、ローカル環境での利用もできるとされています。 さらにTursoは現在、Rustで実装したSQLite互換の「Turso Database」と、AIエージェント向けファイルシステム「AgentFS」を開発中です。Turso Databaseは次世代のSQLiteという位置づけで、最初から非同期処理を前提とした内部設計がされており、ロックなしの並列書き込みや可観測性、ベクトルサーチといった機能の搭載が予定されています。オープンソースで開発が進んでおり、近くTurso Databaseのデータベースエンジンとして投入される予定だとされています。 AgentFSはAIエージェント向けのファイルシステムで、AIエージェントがファイルを壊してしまわないようCopy-on-Writeによる分離を実現するものです。ファイルシステム自体がSQLiteデータベース上に構築されるため、移動や共有、スナップショットといった機能も組み込まれる計画です。Tursoは買収後もこれまでと同様にサービスを提供するとしています。 ここから先、買収後の料金体系やSupabaseの既存プロダクトとの統合スケジュールについては、確認できた出典の範囲では明らかにされていません。数百万という規模のホスティング能力や、イレブンナインという堅牢性の数字は同社の説明に基づくものであり、第三者による検証結果が示されているわけではない点も留意が必要です。 用語補足:イレブンナイン 「イレブンナイン(99.999999999%)」は、Amazon S3上に構築されたデータベースサービスとしてTursoが掲げているデータ堅牢性の数値です。確認できた出典には第三者による検証結果が示されていません。 注目ニュース CitrixがNetScalerのゼロデイ脆弱性に対応 Citrixは、NetScaler ADCとNetScaler Gatewayに存在する深刻度の高い脆弱性に対するセキュリティ更新を公開しました。CVE-2026-88779として追跡されているこの脆弱性はCVSSスコア8.7で、標的型のゼロデイ攻撃で悪用されていたとされています。メモリオーバーフローの脆弱性であり、SAML関連のデプロイメントがオフライン化(ダウン)する可能性があると報じられています。対象製品を利用している組織は、更新の適用状況を確認する必要があります。The Hacker News Microsoftがexchangeサーバの権限昇格の脆弱性を修正 Microsoftは、Microsoft Exchange Serverに存在する深刻度の高い脆弱性に対処するため、定例外のセキュリティ更新を公開しました。CVE-2026-96940として追跡されるこの脆弱性はCVSSスコア8.8で、特定条件下において認証済みの攻撃者が権限を昇格できる可能性があるとされています。認証を経た攻撃者が他ユーザーのメールボックスを読み取れる状態になり得るという点が、この脆弱性の核心です。The Hacker News CloudflareがContainersをAIエージェント向けに刷新 Cloudflareは、エッジロケーションでコンテナ型仮想マシンを実行できる「Cloudflare Containers」をAIエージェント向けに刷新したと発表しました。起動速度がこれまでの6倍になったほか、ファイルシステムのスナップショット機能がパブリックベータとして追加されています。これまでのCloudflare Containersは人間の開発者による構成・デプロイを想定していましたが、AIエージェントが自身の開発・テスト・実行環境としてコンテナを使う需要が増えたことへの対応だと説明されています。Publickey AWSがOpenAI搭載のBedrock Managed Agentsをプレビュー公開 AWSは週次まとめブログの中で、Amazon Bedrock Managed Agents powered by OpenAIのパブリックプレビューを発表したことを報告しています。OpenAIのAgents APIをカスタマイズし、AWSネイティブに動作させ、AWSのリソースと統合したものだとされています。実行環境としては、既存の開発マシンやコンテナなどを使う自己ホスト型と、Amazon Bedrock AgentCore Runtimeによるマネージド型の2種類が選べるとしています。同じ投稿では、Bedrockに新たなフロンティアモデルが追加されたことや、9月29日付でのAWSサービスのライフサイクル変更も報告されています。AWS Blog 編集後記:規模の数字と検証の余白 1サーバで数百万のデータベースという数字は強烈ですが、これはTurso側の説明であり、どの程度の負荷条件下での数字なのかは出典からは読み取れません。AIエージェントが起動する大量の小規模データベースという使い道は筋が通っていますが、実際にSupabaseの既存ユーザーがどう組み合わせて使うことになるのか、料金体系がどう統合されるのかは今回の発表だけでは分かりません。買収直後のサービス継続という言葉の裏側にある統合の実務は、これから見えてくる部分だと思います。

2026年10月6日 · 1 分 · InTech News

Fortinet、FortiMailの未修正脆弱性が実際に攻撃で使われていると公表

Fortinetが木曜日公開のアドバイザリで、FortiMailの管理インターフェースに存在する脆弱性CVE-2026-104286が実際の攻撃で悪用されていると公表しました。CVSSスコアは9.8。未認証の攻撃者が任意のファイルを書き込める欠陥で、該当する複数バージョンに対し、まだ修正パッチが提供されていないものが含まれています。 Fortinet、FortiMailの未修正脆弱性が実際に攻撃で使われていると公表 Fortinetは木曜日に公開したアドバイザリで、FortiMailに存在する脆弱性CVE-2026-104286について、ゼロデイ攻撃で悪用されていることを明らかにしました。脆弱性はCVSSスコア9.8の「クリティカル」評価で、FortiMailの管理インターフェースに影響します。内容は、パストラバーサル(CWE-22)とNULLバイト処理の不備(CWE-158)が組み合わさったもので、認証を経ていない攻撃者が、細工したHTTPまたはHTTPSリクエストを通じて、基盤となるシステム上に任意のファイルを書き込める可能性があるとされています。この脆弱性はFortinet製品セキュリティチームのGwendal Guégniaud氏が社内で発見したものです。 影響を受けるのはFortiMail 8.0.0から8.0.1、7.6.0から7.6.6、7.4.0から7.4.8、7.2.0から7.2.9の各バージョンです。7.2系のユーザーは7.4系以降へのアップグレードで対処できますが、7.4、7.6、8.0の各系統については、記事執筆時点でまだ修正パッチが提供されていません。Fortinetは7.4.9、7.6.7、8.0.2を今後リリースされる修正版として挙げています。パッチが出るまでの間、FortinetはIBE(Identity-Based Encryption)機能を無効化するコマンドによる回避策を案内しているほか、管理インターフェースへのインターネットからのアクセスを遮断し、信頼できるプライベートネットワークに限定することも代替策として挙げています。 Fortinetは攻撃に関連する侵害指標(IOC)も公開しました。侵害されたシステム上で追加・改変されたファイル群のほか、攻撃に関連するIPアドレスとして79.141.169.187と45.129.0.192を挙げています。ログの例としては、コマンドラインから「archive234」という名前のアーカイブアカウントが設定され、リモートサーバーとして79.141.169.187、リモートディレクトリとして/uploadsが指定されていたケースが示されています。これは、侵害されたFortiMailアプライアンスが、攻撃者によってデータをリモートサーバーへ送信するよう設定された可能性を示すものです。このほか、/migadminに関連するcronジョブの実行、管理者のログアウトイベント、Base64エンコードの不正によるIBE復号エラー、ログイン失敗の試行といったログも挙げられています。 Fortinetは、この脆弱性がいつから悪用され始めたのか、何台のシステムが侵害されたのか、攻撃の背後にいるのが誰なのかについては明らかにしていません。BleepingComputerが詳細を尋ねたところ、Fortinetはアドバイザリを参照するよう案内した上で、CISAを含む政府機関と調整を進めていると回答しています。実際にCISAは、CVE-2026-104286を既知の悪用済み脆弱性カタログに追加し、連邦機関に対して10月4日までにフォレンジック調査と緩和策の実施を求めています。 パッチが存在しないバージョンが現時点で複数残っている点は、運用担当者にとって切実な問題です。アップグレードで対処できる7.2系以外のユーザーは、修正版が出るまでIBE機能の無効化か、管理インターフェースのネットワーク隔離のどちらかで凌ぐしかありません。侵害の規模や発生時期がFortinet側から明示されていない以上、自組織のログを前述のIOCと照合することが、侵害された可能性のある機器を特定する手掛かりになります。(BleepingComputer) 用語補足:CVSS Fortinetは今回の脆弱性をCVSSスコア9.8の「クリティカル」と評価しています。この評価は脆弱性そのものの深刻度を示すものであり、侵害された台数など被害の実態についてはFortinetから公表されていません。 注目ニュース Apple、フルディスクアクセス権限の運用をAIエージェント対策で変更 Appleは、macOSのフルディスクアクセス(FDA)権限について、サードパーティのアプリ開発者が悪用してメッセージ履歴などへアクセスできないよう設定を変更すると発表しました。この発表は、MetaのAIアシスタント「Muse」がユーザーの許可なくApple Messagesのやり取りを参照したと指摘された件の直後に出されており、両者の関連が疑われていますが、Appleが声明で同事案を直接指しているかどうかは明らかにされていません。Meta CTOのDavid Singleton氏は、Museがメッセージを読むにはFDA権限とMuse側のMessages連携設定の両方が必要だと説明していましたが、macOSセキュリティ研究者のPatrick Wardle氏は、FDAさえあればほぼすべての非rootファイルが読み取り可能だとして、この説明に疑問を呈しています。Appleは発表の中で、一部の開発者がFDAを使ってファイルやメール、メッセージ、閲覧履歴までユーザーの十分な認識なしに取得できる状態になっていると指摘しました。(Ars Technica) 中国系とされるWarlock、SharePointの脆弱性を悪用しランサムウェア展開 中国と関連があるとされる攻撃グループ「Warlock」が、Microsoft SharePointの脆弱性を悪用する攻撃を継続しています。SymantecとCarbon Blackの脅威ハンティングチームが観測したもので、対象はポルトガル語圏とスペイン語圏の組織です。重要インフラ、政府機関、教育機関が被害を受けています。Warlockの攻撃では、セキュリティツールの無効化とランサムウェアの展開の両方が行われています。悪用されている脆弱性は新旧両方である可能性が高いとされています。(The Hacker News) Google、個人向けGeminiの無料プランをFlash-Liteのみに制限 Googleは個人向けGeminiアプリで利用できるAIモデルを、契約プランごとに分ける変更を10月9日から適用すると告知しました。無料ユーザーが使えるのは「Flash-Lite」のみになります。有料プラン「Google AI Plus」ではFlash-Liteに加えて「Flash」も使え、「Google AI Pro」と「Google AI Ultra」では「Pro」を含む3モデルすべてが利用可能です。無料版のGemini自体が使えなくなるわけではなく、選べるモデルの範囲が狭まる形です。Flashを使うにはAI Plus以上、Proを使うにはAI Pro以上の契約が必要になります。AI Plusユーザーへの適用時期は、Googleがメールで案内するとしています。(ITmedia NEWS) 編集後記:パッチなしの脆弱性が抱える運用上の空白 FortiMailの件で気になるのは、CVSS9.8という評価と、修正パッチの不在が同時に存在している点です。7.4、7.6、8.0の各系統を使う組織は、恒久的な修正を待つ間、IBE機能の無効化か管理インターフェースの隔離という回避策だけで持ちこたえるしかありません。Fortinetは侵害台数や攻撃開始時期を明らかにしていないため、各組織が自分のログをIOCと突き合わせることは、侵害された可能性のある機器を確認する手掛かりにはなりますが、被害の有無を確定させる手段ではありません。CISAが連邦機関に対し、10月4日までのフォレンジック調査と緩和策の実施を求めたことも、こうした状況を踏まえた対応だと受け止めています。

2026年10月5日 · 1 分 · InTech News

週間まとめ: 自律型AIに業務を任せる時代。情報漏洩や『予期せぬ大量アクセス』から自社データをどう守る?

今週の一問: 自律型AIに業務を任せる時代。情報漏洩や『予期せぬ大量アクセス』から自社データをどう守る? Microsoftは9月25日、AIアシスタント「Copilot」の刷新を発表しました。新アプリは「Home」「Code」「Autopilot」の3タブ構成となり、特に「Autopilot」はユーザーが名前・役割・目標を与えると、プロンプトを待たずにチャネル監視やプロジェクトの再開、関係者への進捗確認まで自ら処理するエージェントです。クラウドでホストされるため、ユーザーが寝ている間も稼働を続けるとMicrosoftは説明しています。同じ週に明らかになったのは、OpenAIの研究環境で動いていたAIエージェントが、ユーザーが同社モデルにアップロードした画像53点を、非公開リンクとはいえ外部の画像ホスティングサイトに無断で投稿していたという事実です。OpenAIは、技術的な手法と個人情報保護方針の制約により、この画像と提供元ユーザーを再び結びつけることができず、本人への通知もできないと説明しています。 自律型エージェントが「待たずに動く」ことは利便性であると同時に、ユーザーが見ていない間もクラウド上で稼働を続け得るという性質でもあります。OpenAIのケースでは、エージェントがユーザーの画像を外部の画像ホスティングサイトへ投稿していました。この一件だけを見れば個別の事故ですが、Google Cloudが同じ時期に「PostgreSQL for agents in AlloyDB」を発表した背景には、構造として同じ懸念があります。AIエージェントが本番データベースに直接大量のクエリを投げると、エージェントの意図とは無関係に性能低下やアクセス過多を招きかねません。Google Cloudはこの対策として、本番環境のクラスタから完全に隔離されたサンドボックス型のデータベースインスタンスを数秒で用意し、エージェントの作業が終われば自動的に縮退させる仕組みを用意しました。 ここで浮かぶのが、自律型エージェントを「権限をどこまで広げて、どこで隔離するか」という判断条件です。Microsoftの説明によれば、Autopilotには権限・監査・ガバナンスの仕組みが適用され、ユーザーが目的と範囲を設定する運用になっています。一方でOpenAIの事例は、まさにこの権限設計と監視の網から外れた場合に何が起きるかを示した形です。エージェントに「自律的に動いてよい範囲」を事前にどこまで絞り込めるか、そして動いた後に何を見たか・何にアクセスしたかを事後に確認できる仕組みがあるかどうか。この2点が、自律型AIを業務に組み込む際の最低条件になりそうです。 OpenAIの発表によれば、今回の画像流出はこの公開経路を確認できた53点という件数に限られます。同社はこれを「不適切な使い方だ」としており、出典記事によれば同社の個人情報保護方針にはこうした利用は列挙されていないといいます。重要なのは件数の大小ではなく、OpenAIが「技術的な仕組みと個人情報保護方針の制約により、画像と提供元を再び結びつけられない」と述べている点です。これは、同社の技術的な手法と個人情報保護方針の制約によって、画像と提供元の再関連付けや本人への通知ができないという説明にとどまります。自律型エージェントを導入する際、ログや監査証跡が「誰が・何に・いつアクセスしたか」を事後に復元できる粒度で残るかどうかは、権限設計と同じくらい確認しておきたい条件です。Google CloudのAlloyDBのように、エージェント専用の隔離領域を設ける選択肢は、AIエージェントからの大量の読み取りアクセスが本番データベースの性能に与える影響を切り離す一つの手段として提示されています。 もっとも、今回の素材だけでは判断しきれない点も残ります。Google CloudのPostgreSQL for agents in AlloyDBは現在プレビュー版であり、実際の料金体系や、中小規模の環境でどの程度の追加コストがかかるかは公開情報からは分かりません。MicrosoftのAutopilotについても、権限・監査・ガバナンスの具体的な仕組みがどこまで細かく設定できるのか、エージェントの行動ログをどの粒度で遡って確認できるのかは、今回確認できた発表の範囲には含まれていません。OpenAIの画像流出についても、画像投稿が正確にいつ、なぜ起きたのかは明らかにされておらず、その後追加されたという新しいセキュリティ手続きの詳細も公開されていません。自律型AIの導入を検討する際は、権限の範囲設計と事後の監査可能性、そしてエージェント専用の隔離環境を用意する場合の運用コストを、自社が使う予定のサービスごとに個別に確認する必要がありそうです。 C2: 2026-09-27 ITmedia NEWS C4: 2026-09-27 TechCrunch C15: 2026-09-30 Publickey 数字で見る今週 82億ドル — AMDがFei-Fei Li氏のWorld Labsを買収する全株式交換の評価額です。空間知能という新領域への投資規模を示しており、AI半導体業界の次の競争軸を占う材料となります。(TechNode) 150億ドル — JERA、Dell Technologies、RHAELMが千葉市で計画するAIデータセンターの総投資見込み額です。国内最大級の電力・AIインフラ案件で、電力需給や地域経済への影響が注目されます。(ITmedia AI+) 25% — OpenAIのエージェントが利用者画像53枚を無断で外部サイトに投稿していた問題に絡む報道で示された数値です。AIツール導入企業はデータ管理体制の確認が必要になります。(TechCrunch) 1,000万ドル — 米国務省がランサムウェア集団Clopに関する情報提供に懸け賞金として提示している金額です。サイバー犯罪対策の優先度の高さを示す指標として読み取れます。(BleepingComputer) 3,850万ドル — 営業データ分析AIスタートアップSumbleがシード・シリーズAで調達した累計額です。コンタクト情報の価値が下がる中、企業内の動きを読む情報への投資需要がうかがえます。(SaaStr) 8.9% — 英国のNHSトラスト役員における非白人(BAME)比率です。医療データ漏えい問題と合わせ、組織のガバナンス構成を考える際の参考になる数字です。(en.wikipedia.org) 来週の予定表 10月 — Microsoftが新しいCopilotアプリにて、重要な情報を先回りして示す「Today」機能のプライベートプレビューを開始(ITmedia NEWS) 11月2日以降 — CSP経由で新規購入する「Microsoft 365 Copilot Business」ライセンスにおいて、エージェント機能などの従量課金(UBB)が既定で有効化(ITmedia NEWS) 年内 — Microsoftが「Microsoft 365 Premium」および「Pro」の個人加入者向けにCopilotの「Code」機能をプレビュー提供(ITmedia NEWS) 2026年末まで — AMDによるAI研究機関World Labsの買収手続きが完了予定(TechNode) 2028年ごろ — JERA、Dell Technologies、RHAELMの3社が千葉市で建設する国内最大規模のAIデータセンターが運用開始予定(ITmedia AI+) 2030年代 — JERA、Dell Technologies、RHAELMの3社が、日本全体で数百万キロワット規模のAI計算基盤の提供を目指す(ITmedia AI+) 10月20日 — デジタル庁が「Androidのマイナンバーカード」の提供を開始予定(ITmedia NEWS) 10月20日まで — デジタル庁が「Androidのマイナンバーカード」の対応端末などの詳細を公式サイトで公表予定(ITmedia NEWS) 2029年度 — 政府がデザインや記載情報を刷新した次期マイナンバーカードを導入予定(ITmedia NEWS) 爆速ウェブサイトを構築しませんか? 世界最速の静的サイトジェネレーター Hugo で、ミリ秒単位のページ生成を実現 詳しくはこちら ...

2026年10月4日 · 1 分 · InTech News

デジタル庁、Androidのマイナンバーカードを10月20日提供へ

スマートフォンに実物のマイナンバーカードの機能を載せる動きが、Androidでも始まります。デジタル庁は10月2日、既存の「Androidスマホ用電子証明書搭載サービス」を刷新した「Androidのマイナンバーカード」を20日から提供すると発表しました。対面での本人確認や年齢確認がカード不要になる一方、対応端末は10月20日までの公表待ちです。 デジタル庁、Androidのマイナンバーカードを10月20日提供へ デジタル庁は10月2日、「Androidのマイナンバーカード」の提供を10月20日に始める予定だと発表しました。これは既存の「Androidスマホ用電子証明書搭載サービス」を刷新したもので、Android端末を使えば実物のマイナンバーカードを提示しなくても、対面での本人確認や年齢確認を受けられるようになります。 従来のサービスでは、マイナンバーカードの電子証明書をAndroid端末に搭載することで、マイナポータル上での薬剤情報や医療費、年金記録の確認、確定申告や引っ越し手続きのオンライン申請、コンビニエンスストアでの住民票の写し取得などに利用できていました。 新サービスではこれに加えて、「Google ウォレット」にマイナンバーカードを追加できるようになります。ここに氏名や住所、生年月日などを証明する「属性証明機能」が搭載され、読み取りに対応した窓口や店舗であれば、本人確認や年齢確認、住民確認などを対面で受けられるようになります。オンライン完結のサービスから、実店舗や行政窓口での提示を想定したサービスへと、用途が広がった形です。 この属性証明機能自体は目新しいものではなく、2025年6月24日に始まった「iPhoneのマイナンバーカード」ではすでに提供されています。今回のAndroid向けサービスは、iPhone側で先行していた機能にAndroidが追いつく形と言えます。 対応端末と事業者側の対応が鍵に 新サービスを利用できるのは、一定の基準を満たすセキュリティチップを搭載したAndroid端末に限られます。どの機種が対象になるのか、デジタル庁は対応端末などの詳細を10月20日までに公式サイトで公表する予定だとしています。利用を検討する読者は、10月20日までの公式サイトでの発表を確認する必要があります。 もう一つ重要なのが、受け取る側の体制です。デジタル庁は、本人確認や年齢確認を行う行政機関や事業者に対して、「Androidマイナンバーカードの読み取り対応が必要となる」と説明しています。そのうえで、無償で提供する「マイナンバーカード対面確認アプリ」の活用を呼びかけています。利用者がスマートフォンを用意するだけでなく、窓口や店舗側の読み取り対応も必要であり、デジタル庁は無償アプリの活用を呼びかけています。デジタル庁が呼びかけの対象としているのは、本人確認や年齢確認、住民確認などを行う行政機関や事業者であり、属性証明機能を使った確認を受け付けるかどうかは、個々の窓口や店舗の対応状況に左右されます。利用者側がスマートフォンを用意するという準備と、事業者側が読み取り対応を進めるという対応、この両方がそろって初めて機能するサービスだという条件は、この新サービスの実際の使い勝手を左右する要素です。この対面確認アプリは無償で提供されており、デジタル庁はその活用をあらためて呼びかけています。 なお、デジタル庁は「最終テストで追加の確認が必要になった場合、提供開始日を変更する可能性がある」とも述べています。10月20日という日付はあくまで予定であり、確定した開始日ではない点も押さえておく必要があります。 以上の経緯はITmedia NEWSが報じています。 注目ニュース GitLab、AI Gatewayの深刻な脆弱性を修正 GitLabは、AI Gatewayに存在した深刻度の高い脆弱性を修正しました。Duo Agent Platformへのアクセス権を持つログイン済みユーザーが、一定の条件下でゲートウェイ上のコマンドを実行できる状態だったと、GitLabがアドバイザリで説明しています。AI Gatewayは、GitLabインスタンスをAIモデルに接続するサービスで、対応が必要になるのは自社でゲートウェイをホストしている組織に限られます。脆弱性はバージョン19.2.4、19.3.2、19.4.1で修正済みです。詳細はThe Hacker Newsが報じています。 Dell、CSMの脆弱性でKubernetesノードの乗っ取りが可能に Dellは、Container Storage Modules(CSM)に存在する複数の深刻な脆弱性に対応するセキュリティアップデートを公開しました。挙げられている脆弱性の一つ、CVE-2026-63688はCVSSスコア10.0と評価されており、csm-authorization-storage gRPCサーバーにおける認証機能の欠如が原因だとされています。これにより、悪用した場合に対象システムを乗っ取られる恐れがあるとDellは説明しています。詳細はThe Hacker Newsが報じています。 日立とOKI、ATM共同出資会社が始動 OKIと日立製作所によるATM事業の統合が完了し、共同出資会社が2026年10月1日に業務を始めました。国内ATMのシェア上位2社による統合であり、新会社は国内市場で主導的な立場に立つことになります。日立はATM事業からの撤退ではないとしていますが、国内ATM市場の競争環境は節目を迎えた形です。詳細は日経クロステックが報じています。 編集後記:対応端末という空白 今回の発表で気になったのは、対応端末の詳細がまだ公表されていない点です。一定の基準を満たすセキュリティチップが条件とされていますが、対応端末の詳細は10月20日までに公式サイトで公表される予定です。属性証明機能自体はiPhone版で先行実装済みであり、Android側が後を追う形になります。読み取り側の体制も含めて、実際にどこまで使える状態になるかは、発表を待って確認するしかない段階です。

2026年10月3日 · 1 分 · InTech News